冬を楽しむ

冬を楽しむということ

「冬は、つとめて。雪の降りたるはいふべきにもあらず、霜のいと白きも、また、さらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭もてわたるも、いとつきづきし。(現代語)冬は早朝が最高。雪が降っている朝もいいし、真っ白な霜の朝もいい。雪がなくても、すごく寒い朝に急いで火をおこして、炭を運ぶ様子も風情がある。」

これは、清少納言が『枕草子』の中で記した有名な一節です。

冬は早朝がいちばんよい、という意味です。この言葉には、千年以上の時を超えて、今の私たちにも通じる感覚が込められています。

雪の降る朝、霜が真っ白に降りた朝、あるいは雪がなくても身を切るように寒い朝。

そのような中で急いで火を起こし、炭を運ぶ様子に「つきづきし(とてもふさわしい、趣がある)」と感じる清少納言の美意識には、寒さそのものを季節の風情として味わおうとする心が表れています。

この文章が書かれたのは、清少納言が中宮定子に仕えていた1000年から1001年ごろ、平安時代中期の宮廷内での暮らしの中でした。

当時の庶民の生活は宮廷とは大きく異なっていたと思われますが、冬の朝の冷たい空気や、火のありがたさ、静けさの中に感じる情緒は、国民に共通していたのではないかと想像できます。

では、現代の私たちは冬をどのように楽しんでいるのでしょうか。

受講生の一部のレッスンでは、「冬を楽しむ方法」を英語で考えてみました。

Take a walk in the cold morning air.

Eat hot pot with family or friends.

Drink hot chocolate or tea.

Go to see winter lights at night.

Look at the clear winter stars.

Relax and do nothing sometimes.

これらはどれも特別なことではありません。しかし、冷たい朝の散歩や、家族や友人と囲む鍋、温かい飲み物、澄んだ冬の星空、そして何もしない時間を大切にすることは、冬だからこそ味わえる楽しみです。

清少納言が見つめた冬と、私たちが生きる現代の冬では、生活の形は大きく変わりました。それでも、寒さの中に美しさや安らぎを見出す心は、今も変わらず受け継がれているのではないでしょうか。

「冬は、つとめて。」という言葉は、忙しい現代人に対して、立ち止まって季節を味わうことの大切さを静かに教えてくれているように思います。