字幕翻訳に学ぶ
——自然さと制限の中で生まれる言葉の芸術——
今日は、
映画やドラマの魅力のひとつに、字幕があります。
まず大前提として、字幕には制限があります。
この制限の中で、
また、字幕には映像との連携も求められます。
そして何より大切なのが、感情や雰囲気を壊さないこと。“I guess that might work…” のような曖昧な言い回しは、「たぶんね」や「うまくいくかも」
字幕翻訳とは、まるで詩を書くような作業です。制限の中で、
具体例で見てみましょう。
Anne: What book are you reading? You won’t even look up when I’m talking to you.
Tom: I’m reading War and Peace by Tolstoy. In the original.
Anne: When I see you reading, you act like some kind of great scholar.
Tom: I don’t mean it that way. I just enjoy the classics — with passion.
Anne: Would you lend me the book when you’ve finished it? I’m interested in whatever you enjoy doing.
Tom: OK, but don’t pass it around to your friends. If you do, I’ll never let you read any of my books again.
これを普通に訳すと、こんな感じです。
アン:何の本読んでるの?
トム:トルストイの『戦争と平和』だよ。原書で読んでるんだ。
アン:そうやって読んでるの見ると、なんか学者ぶってるみたい。
トム:そんなつもりじゃないよ。ただ、古典文学が好きなんだ。
アン:読み終わったら貸してくれる?
トム:いいよ。でも友達に回しちゃダメだよ。そうしたら、
では、これを私も字幕風になるように挑戦してみます。
各セリフを1行または2行、15〜20文字程度に収め、
アン:何読んでるの?話しかけても無視ね。
トム:『戦争と平和』。トルストイの原書でね。
アン:なんか、学者ぶってるね。
トム:違うよ。古典が好きなだけさ。
アン:終わったら貸して。あなたの好きな本、興味あるわ。
トム:いいけど、また貸しダメだよ。次は絶対貸さないよ。
字幕翻訳も楽ではありませんね。
