勉強できる条件とは
本日は、「勉強ができる条件」というテーマでお話しします。
以前にも触れましたが、二宮尊徳という人物は、勉学によって知識を深め、それを人々のために役立てたことで知られています。薪を背負って読書する銅像を見たことがあるでしょう。貧困のために講義を受けることすら叶わなかった彼は、講堂の壁越しに耳を当てて学んだと伝えられています。また、夜間の学習には、自ら畑で育てた菜の花の油を使い、明かりを灯していたそうです。
このように、尊徳のような人物は、どんな環境であっても学びを続ける意志と工夫を持っていました。しかし、私たち一般の人間が常にそのようにできるとは限りません。では、普通の人が「学ぶ力」を発揮するには、どのような条件が必要なのでしょうか。
私が深く尊敬する先生に、奈良県立商業高校の鈴木勅生(ときお)先生がいらっしゃいます。GiftMeJapanのホームページにも、講師の推薦文を書いてくださった方です。会計の専門家であり、同校簿記部の顧問でもあります。
この先生の指導のもと、多くの高校生が日商簿記1級や全経簿記上級を取得し、数多くの卒業生が公認会計士の道へと進みました。日商簿記1級や全経上級は英検1級並みの難易度で、これらの資格を取得していると、簿記専門学校の授業料が全額免除になるケースが多いのです。ですから、親の脛をかじらずに進学できるのです。
全国には名門と呼ばれる商業高校が数多くありますが、公認会計士への道筋を高校段階で築いているという点では、鈴木先生に並ぶ方はいないでしょう。彼の指導法を学ぶため、全国から視察が訪れ、新聞でも何度も紹介されています。同校は全国簿記大会でも常に上位に名を連ねています。
私も同校に在籍していた時期に、英語部を立ち上げ、簿記部との連携を図りました。簿記の勉強を終えて英語部に参加する生徒、あるいはその逆もあり、両部門で生徒の進路実績を伸ばすことができました。当時の校長先生も、両部を全面的に支援してくださいました。
私が鈴木先生から特に学んだのは、「勉強する環境づくり」の重要性です。先生は講義時間そのものは決して長くありませんが、学びの道筋を明確に示し、講義後の自習へと自然に導いておられました。その結果、生徒たちの多くが自発的に夜9時を過ぎてもなお簿記の自習に取り組んでいました。
簿記室は、学校の中でも特に集中しやすい空間でした。静かで広々としており、穏やかな音楽とアロマ、快適な室温が整えられ、まさに「学習のためのジム」と呼ぶにふさわしい場でした。また、先生は土日のクラブ活動の中に短時間の昼寝を取り入れるなど、脳の働きにも配慮した指導を行っておられました。
英語部でも同様の空間を意識しました。すると英検2級は難しいと言われていた生徒たちが、半年ほどで合格し、準1級を取得する生徒まで現れました。「勉強する場」が持つ力の大きさを、改めて実感しました。
自宅の部屋は最もリラックスできる空間ですが、学習にはある程度の緊張感が必要です。筋トレにジムを利用する人が多いように、勉強にも「場」の力を借りるのが効果的です。図書館や自習室で集中できるのも、適度な緊張感や共に学ぶ仲間の存在があるからです。
こうした環境づくりを含め、勉強を支える条件として、私は以下の5つを挙げたいと思います。
勉強を支える5つの条件
- 集中できる学習環境(場所) 図書館や自習室のように、周囲も同じ目的で集まっている空間が理想です。自宅よりもはるかに集中しやすく、学習の質が高まります。
- 良質な教材(物) 学びの土台となる教材も欠かせません。基礎から応用まで体系的に学べるものが必要です。英検であれば「出る順パス単」「過去6回問題集」「予想問題集」などが効果的です。それから、私が執筆した English Trainer です。
- 信頼できる指導者(教師・コーチ) 単に教えるだけでなく、学習計画を立て、教材を選び、常に励ましながら指導してくれる存在がいるといいです。目標から逆算したスケジュールと定期的な模擬試験を活用し、確実に力を伸ばしてくれる存在です。このような指導者はいなくても勉強はできますが、いると学びに無駄がなくなり、成長が早くなります。
- 家族の経済的支援(理解と協力) 学業に専念するには、家族の理解と支援が欠かせません。英検1級や準1級、簿記1級や全経上級といった資格取得によって、進学時の学費が免除されたり、アルバイトに活かせたりと、経済的な負担を軽減する手段にもなります。このようなことを伝えておき、今は勉強に専念させてもらいましょう。
- 良き仲間・ライバルの存在 一人でも勉強は可能ですが、仲間やライバルの存在はモチベーションの維持に大きく貢献します。スポーツ選手がライバルの存在によって成長するように、学びにも競争と協調が有効です。
もちろん、これらすべての条件が揃うことは稀です。しかし、一部でも整えば、確実に成果は見えてきます。二宮尊徳のようにすべてを自力で成し遂げることは難しくても、自分の状況に応じて環境や支援を活かせば、大きな成長が可能です。
最後にもう一度、鈴木先生と簿記の試験対策について少し触れておきます。英検など、他の試験学習にも通じる重要なポイントが含まれているからです。
鈴木先生は、試験に向けた「本番慣れ」の準備を徹底されていました。定期的に模擬試験を実施するのはもちろん、試験1週間前には、本番と同じ時間帯・環境で模試を行います。会場の雰囲気を再現するため、机の配置や部屋の雰囲気、空調まで配慮されていました。使用する解答用紙も、本番に近いものを使用していました。
模擬試験は気が重く感じることもありますが、自分の弱点を把握するためには避けては通れない道です。模試で合格点を取れなければ、本番でも結果は望めません。だからこそ、「本番で力を出すための準備」が、何よりも重要なのです。
必要な環境と支援、そして正しい学びの姿勢が揃えば、誰にでも可能性は開かれています。勉強とは、才能よりも「準備」と「継続」がものを言う世界なのだと、私は確信しています。
