円安外国人観光客
受講生の皆さん、こんにちは。
今、日本の街を歩いていると、本当に多くの外国人旅行者を見かけますね。京都や東京だけでなく、奈良などの地方の町でもスーツケースを引いた旅行者の姿を多く見ます。しかし不思議なことに、昔ほど日本人と外国人の会話が生まれているようには見えません。理由はとても簡単です。今はスマートフォンがあれば、地図も道案内もすべてしてくれるからです。迷ったときでも、わざわざ近くの人に「すみません」と声をかける必要がほとんどありません。
これは皆さんのように英語を勉強している人にとっては、少し残念なことかもしれません。例えば私が高校生や大学生の頃、街で困っている外国人を見かけると、つい「May I help you?」と声をかけてみたくなったものです。その一言がきっかけで小さな交流が生まれることもありました。今は便利になった分、そうした偶然の出会いが少なくなっているのかもしれません。
もう一つ、外国人旅行者が日本で驚く理由があります。それは「円安」です。最近では1ドルが150円から160円ほどで推移しています。30年ほど前には1ドルがおよそ100円前後の時代もありましたから、当時と比べると円の価値はかなり弱くなっています。
その結果、日本の物価は外国人にとってとても安く感じられるようになりました。例えばアメリカで15ドルする食事は、日本円にすると現在のレートではおよそ2250円になります。しかし日本では、同じような昼食が800円から1000円ほどで食べられることも珍しくありません。つまりアメリカ人の感覚では、日本の食事は3分の1から半分ほどの値段に感じられることになるのです。
同じ給料水準の人が日本に来ると、現地で生活するよりもかなり割安な感覚で多くのサービスを受けることになります。日本では800円で食べられる昼食が、外国では1600円から2000円ほどすることもあります。言い換えれば、日本では外国の半分くらいの値段で食事ができるという感覚になるわけです。
この感覚は、実は私自身も若い頃に経験したことがあります。まだ学生だった頃、下関から船に乗って韓国の釜山へ旅行したことがありました。確か船の運賃は6000円ほどでした。釜山の港に着くと、まず1万円をウォンに両替しました。当時は日本と韓国の物価の差がとても大きく、店に入って食べた昼ご飯は確か200円ほどだったように記憶しています。
そのとき私は思いました。「もし日本の給料を持ってここに住んだら、ずいぶん豊かな生活ができるのではないだろうか」と。1万円のお小遣いでも、2日か3日はたっぷりおいしいものを食べられるような感覚だったのです。
もちろん現在では、日本と韓国の物価の差はそれほど大きくありません。しかし、今の円安の状況では、日本を訪れる外国人にとって、日本はとても「お得な国」に見えているのではないでしょうか。
とはいえ、これは必ずしも日本の国力が落ちたという単純な話ではありません。多くの場合、それは通貨の交換レートによって生まれる感覚です。円安には、輸出に有利になるなど良い面もあれば、輸入品が高くなるなどの難しい面もあります。
ただ少なくとも外国人旅行者の目から見ると、現在の日本は「質の高いサービスが安く受けられる国」に映っているのかもしれません。そしてそのことが、今、日本に多くの旅行者が訪れている理由の一つになっているのでしょう。
