不定詞の歴史

不定詞の歴史

英語の「不定詞(infinitive)」とは、“to + 動詞の原形” の形をしたものです。たとえば、

  • to study(勉強すること)

  • to play(遊ぶこと)

  • to eat(食べること)

     などですね。

今ではあたり前の形ですが、実はこの「to + 動詞」には、とても長い歴史があります。

1. 古い時代の英語(古英語)

古英語では、不定詞は名詞的な性質をもつ動詞の「名詞形」として存在していました。

  • 当時は -an という語尾がつき、たとえば to writan(書くこと)のように使われました。

  • 「to」は当初、前置詞として方向・目的を表していました。つまり to writan は「書くことへ(向かって)」という意味的な構造だったのです。

たとえば、writan は「書くこと」という意味でした。

このころの to は、今のような文法の印ではなく、「〜へ」「〜に向かって」 という意味の前置詞でした。

だから to writan は、「書くことへ向かって」というような意味で使われていたのです。

つまり、「to」は“方向”を表しています。

2. 中世の英語(中英語)

1100年ごろから1500年ごろにかけて、英語はどんどん変わっていきました。

文法がシンプルになり、語尾の変化も少なくなります。

このころから「to」は、「方向」という意味をほとんど失い、“動詞がこれから来る”という印として使われるようになります。

たとえば:

  • to singe(歌うこと)

  • to speke(話すこと)

同じころ、「to」をつけない形(原形不定詞)も残りました。これは can や may のような助動詞の後に使われます。

今の英語でも、

  • I can sing.(私は歌える)

  • I want to sing.(私は歌いたい)

     という違いがありますね。

3. シェイクスピアの時代(近代英語)

1500〜1700年ごろになると、不定詞はほとんど今の形になります。

シェイクスピアの有名な言葉、

To be, or not to be(生きるべきか、死ぬべきか)

これもこの時代のものです。

また、このころから「to」と動詞の間に別の言葉を入れる「分離不定詞」も出てきます。

たとえば、

to boldly go(勇敢に行く)

という形です。

4. 現代の英語

今の英語では、不定詞には3つの使い方があります。

名詞のように使う(〜すること)

 To learn English is important.(英語を学ぶことは大切です。)

形容詞のように使う(〜するための)

 I have a book to read.(読むための本があります。)

副詞のように使う(〜するために)

 He came to see you.(彼はあなたに会いに来ました。)

このころの「to」には、もはや意味がありません。

でも、「目的地に向かうような感じ」はまだ少し残っています。

たとえば、I study hard to succeed(成功するために一生けんめい勉強する)では、「成功へ向かって」という気持ちが感じられますね。

最後に

不定詞の「to」は、もともと“方向”を表す言葉でした。

でも、長い時間をかけて、「文法のしるし」に変わりました。

つまり、「to + 動詞」は「〜する方向へ」から「〜することへ」と、意味がだんだん抽象的になっていったのです。

英語の不定詞の歴史を知ると、「to」はただの小さな言葉ではなく、英語の進化の証だとわかります。

英語全般

次の記事

名言に学ぶ英語